人生で唯一嘘が認められる瞬間。内定辞退は嘘ついてもいい?これ正常?

人生で唯一嘘が認められる瞬間。内定辞退は嘘ついてもいい?これ正常?

エイプリルフールを除いては、ほとんどの人が「ウソをついてはダメよ」「誠実に生きなさい」と言われて育ったはず。しかし、なぜか就活の場面になると親も大学のキャリアセンターですらも「とりあえず第一志望と言って内定もらっておきなさい!」とウソをつくことを奨励し、学生さんもそれに従うようなことが慣習となっています。銀行の採用担当の後、いろいろな会社の採用のご支援をさせていただきましたが、実は企業人事ですらも内定辞退を当然のように容認するような時代になってしまいました。社会人への入り口がこんなんでいいんですかね?

 

65%が偽内定!?

売り手市場化が進むとともに、内定辞退率も高まっていく昨今です。高らかに「内定14個とった!」とかいう人がブログで流行っていたりします。でも13個断るわけですよね?不要な内定を取るまでのその時間、かなり人生で無意味だと思うのですが、、、

 

正々堂々、「第一志望は●●社です」と言い続けて、それでも他の会社が内定を出したい、というのであればそれでいいでしょう。ただ、ほとんどの学生は「御社が第一志望です!」と言いながら、後から内定辞退をする、という形をとります。

 

なんと、内定辞退率は64.7%、実に世の中で出される2/3もの内定が後々に取り消されるという。。。

怖い世の中になりました。

https://www.sankei.com/life/news/171113/lif1711130009-n1.html

 

現場で起きてる内定辞退とは

このような環境が影響しているのかはわかりませんが、内定辞退のやり方も少しずつ変わってきたかと思います。

内定辞退をするときによくあるのは

仲のいい先輩経由で内定辞退をしたい話が来る

「謝りたいことがあります」と電話が来る

「学校から内定辞退の時は会いに行くな、と言われているので電話で辞退の連絡をしました」

書面で「内定辞退します」と連絡が来てその後音信不通

などがあります。

 

上の二つはまだ、謝罪の意図が汲み取れるので良しとしましょう。

下の二つについてはそもそも、本人からの連絡かどうかすらわからないので、内定辞退したいと言われても、、、と人事も戸惑います。

そして誠意が感じられない。内定を取るための面接にはなんとか来ようとする割に、辞退の時は顔も合わせたくないと。結局その学生の家に電話し、お母さんが訝しげに電話に対応し、お母さんを通じて内定辞退をする、みたいなことも現場では起きています。

 

面接官だって「内定取りゲーム」に付き合うのも馬鹿らしくなってきます。

 

内定辞退助長には企業側の責任も

銀行の採用を離れて、他社の採用のお手伝いをすることになったのですが、その際に思ったのは、内定辞退は学生や大学、親のせいだけでなく、内定辞退を助長するのは企業側にも責任がある、と思うようになりました。

 

日本を代表する企業の採用担当者が誇らしく

「ウチの会社は内定辞退者への対応に自信があります。その対応が良いために、学生が後輩に『あの会社は良い会社、インターン行ったほうが良いよ』と勧めてくれます」

と言ってました。

 

具体的にどんなことなのかを聞いてみると

「たとえ学生が嘘をついて内定をとって辞退したとしても『ウチの会社を志望してくれてありがとう』。うちの会社は内定を辞退したからと言って怒るようなことはしない。寛容な会社です、と言います」と。

 

・・・バカかと。

 

いくら学生とはいえ、20歳を過ぎた成人がウソをついて内定を取得しているわけです。その陰では、その学生のせいで本当にその会社に入りたいのに入れなかった学生がたくさんいるわけです。

 

ウソをついた人間に「ありがとう」なんて、そしてそれを「寛容」だなんて、人生の他の場面で使いますか?

学生が内定を取るためのゲームに興じているのであれば、企業側も学生をいかに採用するか、という目の前のゲームに終始しているだけに思えて仕方ないのです。

 

悪いことをしたらしっかりと叱る。叱ることで学生は気づきを得る。

気づきがその人を成長させるのです。

 

企業人事としてはこういう時にしっかりと「躾」をしないといけない。

たとえ学生の中で悪評が立ったとしても、正しいことをしないといけない。

「怒らないから寛容、いい会社」というのは企業が自ら学生を甘やかしているだけであり、本当に馬鹿らしい。

 

私の実感でしかないですが、

「他社が第一志望です」と最初から言ってきて「その会社から内定をもらいました」と辞退する人が全体の2割、「御社が第一志望です!」と偽って辞退する人が7割、「内定後に会社に失望することがあった」と辞退する人が1割くらい存在しているかと思います。

 

正々堂々勝負することの美学

 

過去、とある東北地方にある有名な大学の学生と面接をした際、最初から「他社が第一志望です」と言ってくる学生がいました。

明確に「今の志望順位は?」と聞いた時に「一番は航空会社です。二番は海運会社、素晴らしい先輩がいます。三番が御社、事業内容は一番面白いと思います」と。理由を聞かせて〜というと、第一志望の会社に対する熱い思いを語ってくれ、私はその学生を本当に素晴らしいと思いました。

最終面接官に対しても「この学生はうちの会社に来ないかもしれない。しかし、内定を出さなければ100%来てくれることはない。素晴らしい学生です。会えばわかります。当社としての最大限の誠意を示したい」と言って、最終面接合格し、実際に内定となりました。

最終的に海運の会社から内定をもらい、そちらに進んだわけですが、今でも自分の判断は良かったと思います。

 

「第一志望でないことくらい、面接官なら見抜けよ」と思われるかもしれません。

しかし、ほとんどの会社で行われる面接は1時間程度のもので、相手のことを知るのにも十分な時間はありません。面接で相手の考えを見抜くというのはとても難しいことなのです。

 

ウソをつく学生が悪いとか、そういうことを言いたいのではありません。

7割もの人間が同じような行動をとるのは、社会としてそれが自然な行為となっているからであり、その異常な行為に流されている、ということだと思います。今の就活の制度、仕組み自体があまりいいものでない、ということでしょう。

 

ただ、2割の学生は正々堂々勝負をしていること、を忘れてはいけないと思うのです

ウソをつくのは当たり前だ、みんなそうしているから自分が悪いのではない、と考えるのは尚早です。周りの雰囲気に流されることなく、しっかりと自分の実力、自分らしさで勝負をしている学生もいることを是非忘れないでほしいです。

 

企業側もこうした学生が存在することを内定辞退の面談の時にしっかりと学生に伝える。学生に「就活はゲームでない」ことをしっかりと伝え、それを後輩に広げていってもらう。嘘をついてしまったことはもう変えられないので、人生それを忘れずに誠実に生きなさい、と一言伝えていきたいですよね。

 

嘘をつくことは正直嫌なことです。私も就職活動を終えてから15年が経ちますが、1度だけ嘘をついて内定をもらってしまった会社、N證券さん、今でも覚えています。辞退の話を伝えに行く時、しっかり叱ってくれました。そして、どのように振る舞うべきであったのかを指導してくれました。私はその会社を志望したことを改めてよかったと思うと同時に、その会社を尊敬するようになりました。

 

少し長くなりましたが、この内定辞退65%、というアホらしい世の中を変えるためにみんなの考え方を少しずつ変えていけたら。そんな風に思っています。

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