20代銀行員、転職する前に考えるべき7つのこと

20代銀行員、転職する前に考えるべき7つのこと

昨年、20代の銀行員の退職が増えてきている、という記事が出ていた。特にメガバンクの若手の退職が著しいらしい。元メガバンク、スタートアップベンチャーや外資系企業を経験した筆者が、転職を検討する20代銀行員に転職前に考えて欲しいチェック項目を記載しておく。

 

逃げていないか

銀行の仕事はとにかく苦しい。成果がでなければ生きた心地がしないし、毎朝の報告会が吐き気がするほどにストレスがかかる。顧客先に行ってもなかなか相手にされないか、逆に資金的に寄りかかられてできもしない案件に時間を費やすことになる。するとまた成果が出ない、など、なかなかにうまい事いかない事も多い。

上司との相性が悪ければ最悪だ。まともに話も聞いてもらえないし、直接会話をする事すら拒まれる。稟議は重箱の隅をつつくように質問をしてきて進まないし、ちょっとしたミスに大きなバッテンをつけられる事もある。

何かとコンプラコンプラ言ってチェックリストや作成物が多く、なかなかに仕事が進まない。

 

こんな日常もう嫌だ!!!!!

 

となって、そこから逃げ出そうとしてませんか?僕は逃げ出そうとしました。

シンプルに、人の役に立つことって何?となり、分かりやすく人の役に立つことを使用と青年海外協力隊を志したこともあります。

でも、転勤で尊敬する上司や素晴らしい仲間に出会い、そこで生きていこうと思えました。そこで気づいたのは、苦しさは自分の実力不足が招いたことであり、周りのせいではなかったこと。

あそこで逃げていたら、いつまでも自分の実力のなさに向き合えずにいたと思います。苦しい時に思うのは大変ですが、「起きていること全ての要因は自分にあるんだ」と思って、自分から逃げないことが大切です。

 

胸を張って「これはやり遂げた」という仕事があるか

転職をするにしても、今度は「何ができる人のか」と言う厳しい目で見られます。20代銀行員のウリは馬車馬のように働く体力、ストレス耐性、結果を出すこと、です。ブレーンであれば外資系コンサルとかから採用するでしょう。銀行員に求められるのは少し違いますよね。もう少し泥臭い役割です

それであれば、「自分はこんな案件をやった。その時にこんなに必死になって働いた」「めげずにとことんやりぬくことで成果を出した」というものがないと、中途半端な転職しかできないです。

ベンチャーで幹部に、という人もいるかもしれませんが、一度幹部になっても後から入ってくるより優秀な外コン外銀出身の人間にすぐに抜かされ、幹部でいられなくなります。

泥臭く、というと聞こえは悪いかもしれませんが、泥臭く仕事を完遂する能力はどこの世界に行っても求められるものです。華やかではないかもしれませんが、日本の厳しいメガバンクに入ったのであれば、自分で泥臭さの価値を認め、胸を張って言い切れるくらいになりたいですね。

 

そうならないためには、しっかりと自分の居場所で「これはやりきった」と思える、自分を支えてくれる実績があった方がいいでしょう。「あの時、あの環境でも成果を出せたんだ」という自信が、「銀行」という看板を失ってから、自分を守ってくれるようになります。

 

転職理由が「銀行の未来」になっていないか

「このまま銀行にいても銀行はやばいんじゃないか」。これを理由に転職を考え出すのは時期尚早です。少なくとも400年近く続いてきた業態がいきなり崩れるとは考えづらいですし、資金利益は各銀行ともに減少していますが、証券やカードといった多角化戦略によって、毎年数千億円の利益を維持し続けているわけです。

こんなことができている会社はなかなかありません。

周りからやばいと言われたり、銀行で働くことが少しダサい、という風潮もあるかもしれませんが、銀行員としてしっかり顧客の役に立つ仕事をしたことのある人は、銀行員としての楽しさ、やりがいをよく知っていることでしょう。

 

単に、「この会社大丈夫かな、、、」と悲観的になることはありません。逆に、この先「この会社危ないな」と思ったら、その都度逃げるつもりですか?そんな人材、誰が欲しいと思いますか?会社に寄り掛かろうとしている証拠ですよね。

 

銀行員でいることに誇りを持ち、業績にかかわらず銀行の仕事が好き、だけどもっと好きな仕事が見つかった!という人材こそ、求められる人材ではないでしょうか。

 

隣の芝生は青く見えることを割り引いているか

ベンチャーや外資、留学に行く同期や先輩を見て、羨ましい、、、と思う人もいることでしょう。

決して、そこの職場が銀行よりもとても魅力的である、ということはありません。隣の芝は青く見えるものです。外資であれば厳しい競争にさらされているわけですし、ベンチャーであれば、苦しい台所事情は隠しながらもいい人材を集めるために外向けには良い顔をしなければなりません。湖の白鳥みたいなもんです。

ただ、変わるのは自分の心の持ちようです。一度退職をしたことがある人間は、良くも悪くも会社にしがみつくことがなくなります。いざとなったら辞めれば良い、という選択肢を持ちます。変に自分を追い込みすぎることなく、「本当にやりたい仕事か」「この仕事を通じて自分は成長できるか」といったことを考え、うまくいかなければ自分の実力不足、と割り切ることができるのです。

環境は変わりません。自分が変わるかどうか、です。

 

あらゆる選択肢を検討しているか

本当に転職が最善の選択肢でしょうか?社内公募、転勤、証券会社やVCへの出向など、転職以外にも様々な選択肢がありますよね。もしくは、そこで仕事を続けながらボランティアで他の仕事を手伝うなど、やれることは色々とあると思います。

相手のことをあまり知らずにいきなり転職すると、「こんなはずでなかった」ということが起きやすいですよね。相手のことをよく理解してから転職をする方が無難です。平日夜1時間でも手伝うことのできるリクルートのサンカクのようなサービスや、スポットコンサルのビザスクのようなサービスから、外の世界に触れていくことも大切なのではないでしょうか?

 

銀行の中にいると、見える世の中の範囲は狭くなります。自分では広く様々な世界を知っているつもりでも、まだまだ狭いのです。今はそれに気づいていません。世の中、もっといろんな生き方がある、ということをまず知らなくてはなりません。そして、いろんな生き方を知ると、今の自分のいる場所は割といいところにいる、ということにも気づきます。では、どうする?というのは、広い世界を知っていろんな選択肢に気づいてから考えればいいのではないかと思うわけです。

 

「本当にやりたいこと」が見えてきたか

20代で「本当にやりたいこと」はなかなか見えないですよね。ただ「成功したい」「やっぱりグローバルに活躍したい」とか、それくらいのレベルでいいと思います。ただ、銀行の次の転職や留学はとても重要です。

今はおぼろげに「こんなイメージ」というものしかなくとも、次のステップでは明確に「自分が何者であるか」が求められるようになります。というか、何者にもなれなければ、社会の中で自分の力で生きていくことができなくなります。

まだ、あまりイメージのつかない人は転職よりも留学がいいかもしれません。日本よりも海外の人の方が「これで生きていく」と明確にするのが早いからです。正直日本の銀行では「総合職」という非常にファジーな働き方をしますので、自分のキャリアを意識しづらい環境です。外に出ればより明確に自分の生き方を考えざるをえない環境になります。

今の銀行員のままではあやふやにしか考えられなくて仕方がないので、「こんなんで大丈夫かな」と思われるかもしれませんが、それは心配ありません。心配なようなら専門家に相談しましょう。

 

人生の優先順位をつける

20代で結婚されている人も多いですよね。転職をすると、正直離婚もしやすくなります。「あなた」という人格にはすでに「銀行という安定して高い給料がもらえる人」という要素が十分に含まれているからです。

これは悲しいことに聞こえるのですが全くそんなことはありません。安定して高い給料がもらえる、という要素を勝ち取ったのは自分の力ですから、むしろ誇れることかと思います。であれば、これからは「自分の力で安定して高いパフォーマンスを出し、その対価をもらえる人」になればいいのですが、これがなかなか理解できる人とできない人がいます。

 

もしくは、一度「理解した」と言われてもやはり心の中のしこりとして残っていたりとか、後からそれが表面化するケースも少なくありません。

家族とはしっかりと膝を突き合わせて、自分がどう生きていきたいのかを話し合ってください。

その中で、自分の人生の優先順位をしっかりとつけましょう。中途半端にしていては後でそのツケが回ってきますし、判断が鈍ります。優先順位が明確であれば、大切な判断をスパッとすることができ、無駄なことを考える必要がなくなります。その分仕事やインプットすること、アウトプットすることに集中できます。

 

ちなみに、私の優先順位の第一は「家族」にしました。銀行にいても、スタートアップベンチャーにいても外資系にいても、家族に何か不都合なことがありそうであればスパッとキャリアチェンジします。それが自分の生き方ですね。

 

以上、20代で銀行を辞める前に考えて欲しいことを記載してきました。

正直、今の人手不足の状況であれば銀行を辞めて転職先を見つけるのは簡単です。でも、逃げるように銀行を離れたり、あまりに中途半端に銀行を出てしまっては本当にもったいない。易きに流れるのはやめましょう。それくらい、外から見た銀行というのは魅力的な職場だと思います。せっかくの素晴らしいキャリアをスタートさせたのですから、まずはその場で成果を出すこと、成果が出てから、幅広く視野を持って次の選択肢を考えることをお勧めします。

 

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