久しぶりに記事を書きました。
コロナ環境で大きく事業に変化を余儀なくされている、オリエンタルランドについて書きたいと思います。
「夢の国」としてのオリエンタルランドでなく、就職するのであればより現実的に「テーマパークビジネス」を知ることが必要でしょう。
解説していきますね~。
テーマパークビジネスのビジネスモデル
売上は「来場者数×一人当たり売上高」
お客さんとして遊びに行った時には全く考えることのない「金の世界」の話になります。
でも、せっかく就活で企業のことを知る、というのであれば、実際にその企業がどのように利益を上げている会社なのか、を知ることはとても重要です。ましてや、内定をとるのに超高難度であるオリエンランドであればなおさら、思いだけで内定がとれるほど甘くはありません。
現実的に利益が上がらない限りは会社は継続できないので、「この人は会社にどう貢献してくれる人なのか」の目線が必ず入ります。会社の重要な目標の一つは利益を上げ続け、お金を稼ぎ、また夢のあるアトラクションにお金を投資する、という好循環を作り出すことが重要です。
日々の行動が利益を上げることに紐づくことになるので、どのようにしたら利益を上げられるか、を考えることは、「自分たちがいかにいいサービスを提供し続けられるか」に直結するのです。
まず、就活生のみなさんの「金」と「夢」が対極にある、という考え方を捨てるところから始めたいと思います。
まず最初は、ディズニーランドの売り上げはどのように決まるのでしょう、というお話です。
オリエンタルランドのビジネスはわかりやすくて、2つしかありません。
「どれだけお客さんを集められるか」
「来場したお客さんがどれだけお金を使ってくれるか」
この2つから、以下のグラフを見てみましょう。
まず、来場者数とチケット価格のグラフです。
(オリエンタルランド IR資料より作成)
2010年から来場者が大きく伸びてますね。チケット価格を30%近く上げているのにも関わらず、です。
通常、価格を上げると来場者が減る、というものですが、価格を上げながらお客さんを増やす、というところがオリエンタルランド、ディズニーの強さです。
単価が30%増え、来場者が30%増えれば、1.3×1.3=1.7倍の売り上げになるわけですよね。この倍倍ゲームを達成しているのがオリエンタルランドのすごいところです。
ちなみに、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーの2つは、世界でどれくらい強いパークなのかご存じですか?
世界の入場者数(百万人)は以下の通りです。
東京ディズニーランド は世界第3位
東京ディズニーシー は世界第4位
世界1、2位はアメリカのディズニー、3、4位が日本のディズニーですね。
ちなみにUSJが世界で5位、日本は実はテーマパーク大国なんですね。
どこからお客さんを呼ぶか
さて、これらのお客さんはどこから来ているのでしょうか?
(オリエンタルランド IR資料より作成)
オリエンタルランドの将来を見据えるうえで、とても大切なデータです。就活をしているみなさんも知っておいてください。
ポイントは2つあります。
①関東比率が60%以上と非常に高いこと
②関東比率が落ち、海外顧客比率が高まってきていること
①関東比率が60%と高い
これが意味することは、ビジネスの安定性です。日本で一番人口の多い関東地方、そこからの集客が安定しているということは、将来も安定的に地元に貢献することで顧客を集め続けられる、ということを意味します。盤石の強さですね。
②海外顧客比率が高まっている
コロナで海外顧客は大幅に減少したと思われますが、それまでは日本に来る海外旅行客の増加に合わせて、ディズニーの来場者も非常に増えてました。日本の人口が増加しない、となると、日本ではあまり成長余地がないので、ほかのビジネスをするか、海外からのお客さんに頼るか、しかないですよね。
ディズニーの場合、難しいファイナンスの話は避けますが、本業の収益性が高すぎるせいでうかつにほかの事業に手を出せない、という事情があります。なので、海外顧客の獲得、というのが一番の有効な選択肢なわけですね。
日本政府が海外からの旅行客を4,000万人にしたい、という目標を掲げていますが、そうなるとディズニーへの外国人観光客の来場者数は500万人近くなるかもしれません。
就活生の皆さんが見事に内定をとり、入社して3~5年たち、中国からの観光客が増加する2月くらいになると、パークのお客さんの半分近くが海外からのお客さん、なんてことになるかもしれません。
強力なパートナーシップ
皆さんは、ディズニーに行くと、それぞれのアトラクションに企業の看板がついているの、気になりませんか?
東京ディズニーシーの「センター・オブ・ジ・アース」になぜ「第一生命」の看板が?と。
実はこれ、企業の広告なのです。企業側にどんなメリットがあるの?と思うかもしれませんが、
①プロモーションにディズニーキャラクターを使える
②その企業の商品を買ってくれたお客様に抽選でディズニーの限定体験をプレゼント、等共同プロモーションができる
③従業員に対して、ディズニーで使える特典を提供できる
などなど、いろんな特典があるのですね。まぁ、特典というより
「ディズニーランドと共同できる素晴らしい企業なのだよ!」
と言いたいだけのような気もしますが。お客さんからの入場時のチケット収入に加えて、企業からのスポンサー料ももらってビジネスをしています。
そして、その会社の株式を保有することで、簡単に逃げられなくしているのもディズニーの抜け目のないところです。
まとめです。
ここまで、ディズニーの売り上げを見てきました。
ディズニーランドの売り上げ=来場者数×一人当たり売上高+企業スポンサーからの広告料
と、覚えておきましょう。
部署毎の働き方の違いとキャリアの描き方
さて、一言でディズニーで働くといっても、非常に様々な部署があり、働き方が全然違います。
就活をしている皆さんからすると、「ディズニーに内定もらえたら一生務めるに決まってるじゃん!」と思われるかもしれませんが、案外オリエンタルランドから転職する人は多いのです。
転職する人も多いので、中途入社も実は割と多かったりもします(コロナ前は)。
部署によって、以下の3つに大きく分かれてしまいます。
(※あくまで私の私見と、社員の方にお話を聞いた印象になりますので、現役社員の方が見ても怒らないでください、、、)
①「ディズニー内部でしか通用しないスキルしかつかない」
②「スキルはつくが、転職したとしても給料が安い」
③「どんな企業でも通用するスキルがつく」
ちなみに、自分がどんな生き方をしたいか、は自己分析の世界だと思いますが、是非オファーボックスの性格分析を使用してみてください。
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①ディズニー内部でしか通用しないスキルしかつかない
ここに区分されたら現役社員の人は起こるでしょうね。。。
・エンターテイメント系の部署(ショーを運営したり、キャラクターグリーティングを運営したりする)
・オペレーション系の部署(迷子センターとかお客様苦情室、パークの清掃等を行う)
この2つですね。
エンターテイメント系部署の特徴
キャラクターグリーティングの回数を決めたり、グリーティング用の被り物のメンテナンス、更新計画をたてたりします。パレードの安全性を確保したり、パレードの内容を考えたりします。
日本はそもそもエンターテイメントの市場が大きくはないので、転職しようとしてもなかなか難しいですよね。こんなスキルの活かせる会社、限られているでしょう?思いつきますか?
ただ、エンターテイメント系の部署の方はもちろんエンターテイメントが好きなので、ディズニー愛が半端ないです。そもそも転職のつもりもないよ、という人も多いので、あまりいらない心配なのかもしれません。
オペレーション系部署の特徴
パークの清掃や入場者のコントロールなど、お客さんに触れる機会の多い部署です。たくさんの人が必要になり、エリアごとに社員が配置されたりします。新しいエリアを開発するときに顧客の導線を考えたり、どうやってたくさんのお客さんを乗せようかと考えたりします。
これも転職するとしたらイベント会社くらいしかないのではないでしょうか。
エンターテイメントと同様、やはりお客さんに触れる機会が多い部署なので、ディズニーランド最高!という社員が多く、こちらも転職の心配なんてしなくてもいいのかもしれません。
②スキルはつくが、転職したとしても安い
ここの人たちにも怒られそう、、、
・レストラン(飲食)系の部署(パーク内レストランの運営、商品企画、仕入在庫管理)
・メンテナンス系の部署でメンテナンスをする人(部品の交換や故障がないかのチェック)
この2つですね。
レストラン(飲食)系部署の特徴
えと、個々の部署の人はいわゆる「外食産業」と同じ機能になります。
オリエンタルランド、ディズニーランドのレストラン、飲食がどうのこうのというより、外食産業自体が労働集約的になりがちで、給料が上がりづらいんですよね。バイト代なんかも他に比べたら安くなりがちです。
転職できる業界もホテル、外食とかに限られるので、転職に使えるスキルレベルはあがりづらいですよね。
キャリアアップはできると思うのですが、アップしても給料が上がらない、という、ちょっと悲しいところです。
メンテナンス系部署でメンテナンスする人の特徴
実は、この部署の人、そもそもオリエンタルランドの所属でなくて、子会社の所属になってらっしゃるかもです。
自動車の整備とかオートバックスでやってくれる人のイメージをしてくれればいいかも。アトラクションもモーターで回ったりしますし、亀裂が入ってないかチェックしたり。この人たちの献身的な毎晩の努力があるからこそ、安全にアトラクションを楽しめるわけですね。
ただ、こちらもフード系と同様に、転職の機会はそんなに多くなく、給料はあがりづらい、キャリアアップを描きづらいですね。
③どんな企業でも通用するスキルのつく仕事
オリエンタルランドを受ける就活生の方に知っておいていただきたいのは、以下の4つの部署は非常に汎用性も高く、仮に「ディズニーもうつまんないな、転職するか」と考えても次の転職先を見つけやすい仕事、になります。オリエンタルランドは案外転職者の多いと聞く会社なので、就活時点でこのあたりも考えておきましょう。
・経営管理、ファイナンス系の部署(テーマパーク本部と呼ばれる、全体管理をする部署)
・マーケティング、集客を担当する部署(ブランディングの企業としてはものすごい強い)
・マーチャンダイズ、物販商品企画をする部署(商品開発力の高さはすごい)
・テクニカルエンジニア(制御装置のメンテナンス、実は発電設備なんかも持ってないといけなかったり。理系ですね)
経営管理、ファイナンス系部署の特徴
割と経営管理系の部署は人気はないです。ただ、どの企業にも経営管理は必要であり、転職しようと思えばいくらでも求人が出てきます。口酸っぱくコスト削減を言わないといけなかったり、社内では人気ないでしょうね。
大きなプロジェクトの採算を検討したり、それなりに楽しいこともあるかも?
事業会社の経営管理はどの企業にもありますし、大企業から中堅中小企業、少し大きめのベンチャーあたりで活躍はできると思います。ただ、「会社を整える力、適切に運用する力」はつくのですが、トップラインを伸ばす力はつかないので、事業開発ポジションで転職してしまうと失敗するケースも多いかと思います。
自分サービスを世に送り出したい!とか考えている人は経営管理は辞めておきましょう。先にマーケティングやエンターテイメント、あとから経営管理、がいいと思います。
マーケティング、集客担当部署の特徴
「オリエンタルランドでブランディング担当してました」というだけで何かすごそうですよね。
どうやってあの強いブランドを維持しているのか、だれでも知りたいと思いますし。
マーケティングは売り上げを伸ばすために必要不可欠で、こちらもどの会社にも必要です。
ただ、ある程度資金力のある会社なので、リソースをいかに使うか、というマーケティングが上手になるでしょうね。
リソースがないけどどうする?というのはまた別の議論なので、日系や外資の大手のマーケティングに転職するのがいいかと思います。
売り上げを上手に伸ばせる人は引く手あまたです。
マーチャンダイズ、商品企画の特徴
ディズニーランド、ディズニーシーのお土産、グッズって、なんであんなに欲しくなるんですかね。。。
すごいですよね。あれだけの商品開発力があれば、日系のメーカーでどれだけでも活躍できるのでは、と思います。
ディズニーキャラクターに頼らず、ディズニーの良さをいかに引き出すか、を考えているのでしょうね。
テクニカルエンジニアの特徴
日々のメンテナンスをするわけではなく、「この機械もう寿命だな」とか「アトラクションを自動で動かす装置を入れ替えないと」など、アトラクションの基幹部分の設計をする人たちです。基本理系の機械工学などをやっている方ですね。実は結構大きな、日立とか東芝とか、あのあたりで重電を経験した方なんかがいたりもします。奥深いですね~
このあたりの方々はそもそも市場に人が枯渇しているので、いつでもいい条件で転職できる人たちです。
いかがでしょうか?もちろん就職した会社に骨をうずめる!という覚悟の方もいらっしゃれば、ある程度転職をしながらスキルをつけていきたい、と考える方もいらっしゃるでしょう。
どちらが正解、ということはないので、是非自分らしい生き方を選んでくださいね。
働く人の評価
強い労働組合
オリエンタルランドの特徴として、労働組合の声、というのがあります。
コロナの影響でランドもシーも開けられなくなり、アルバイトの人やダンサー等のひとたちが大量に契約解除を余儀なくされました。この解雇が不当である、もしくは休業手当の支給方法が少なすぎる、と言って労働組合がかなり騒いだことがあります。
労働組合があること自体は健全な企業であり、社員を大切にする、ということからも必要だと思うのですが、オリエンタルランドの場合は割と会社側と従業員側の意識の溝が大きく、たびたび問題が発生することがあります。
Vorkers(Open work)点数
会社の評価がまとまっているサイト、Vorkers(Open work)を見てみましょう。このサイトはとても面白いので、是非就活している方にも見てもらいたいと思います。
よく比較されるUSJとの比較にしてみました。
総合評価はほとんど変わらないですねー。大体の項目もあまり変わらないのですが、2つだけ大きく評価が異なるものがあります。
・社員の相互尊重
社員の相互尊重は働きやすさ、でしょうね。特によく関わる部署といい雰囲気で仕事ができている、ということかと思います。4ポイントを超えるとすごいなぁ、と思いますね。
・20代成長環境
こちらはユー・エス・ジェイのほうがスコアが高いですね。ユー・エス・ジェイのほうが若いうちからガッツリ仕事をする、という文化のようです。そう考えるとオリエンタルランドは少しまったりしているのかもしれませんね。
ちなみに、総合評価の3.5という数字は他の会社と比べても特筆して高い、というレベルではないので、
働く人の評価としては、いたって普通
ということでしょう。顧客からあれだけ高い評価をされるオリエンタルランドなので、さぞかし社員も会社大好きなのだろう!と思うのですが、実は全然違うという、、、ちょっと残念ですよね。
なので、あまり夢をもちすぎて就活生が受けると、入社後のGAPが大きいかもしれません。
と、いうことでオリエンタルランドでファーストキャリアをスタートするには、
・いい人間関係で仕事ができる
・キャリアアップを考えると自分で学び続ける必要あり
財務内容
強固な財務基盤
オリエンタルランドは長く堅調なビジネスを続けてきた結果、非常に強い財務基盤を持っています。
自己資本比率 81% … 長く利益を上げており、その蓄積がたくさんあり、少しのことでは揺らぎません。
営業利益率 21% … 非常に高い収益性を誇り、営業利益率20%というのはかなり高い数値、と思ってください。
財務格付 AA- … ほぼ最高値であり、格付け機関から「優良な会社」として認定されている、と言えるでしょう
コロナでパークを上げられなかった2020年は営業利益が赤字になりましたが、これを除くと赤字になったことはなく、安定した事業、財務基盤を持ってます。
無理しなければ、長く続いていく会社、ということですね。
株主に愛される稀有な会社
オリエンタルランドって、どれくらいの価値のある会社かご存じでしょうか?
こちらはYahoo!ファイナンスのデータです(2020/12/9終値)
なんと、
日本で16位
NTTドコモが非公開化されるので、実質は15位ですね。
6.5兆円の価値のある会社、になっているのです。三菱UFJフィナンシャルグループより高い、というのも恐ろしいですよね。
オリエンタルランドの特徴は、「オリエンタルランドを好きなゲスト自体が株主」であり、株価が下がりづらい(売る人が少ない)というところにあります。
株主優待もパークのチケットですしね。必ず1年に1回はパークに行くよ!という人にはいい優待券ですね!
USJの真似をすればもっと儲かる
ただ、もう1つ考えておかなければならないことがあります。
例えば、時価総額ですぐ近くにいるKDDIは連結で利益が6,500億円程度の見込み、少し下にいる三菱UFJフィナンシャルグループも5,000億円以上の利益見込み。
一方でオリエンタルランドは10分の1の600億程度、コロナのおかげでさらに儲かりづらくなっています。
なぜそんな会社の株が買われるのでしょうか?
答えは、、、
「どうやったら儲かるか、が分かっている」
「会社もそれをやると言っている
からです。
具体的なものとしては3つあります。
①ダイナミックプライシングの導入
②有料イベントの提供
③ファストパスの有料化
①ダイナミックプライシングの導入
これは、世界のテーマパークではほとんど主流と言っていい価格の決め方の話です。
混んでる日は高い、空いてる日は安い。これだけですね。
例えば、ゴールデンウィークや夏休みのようなときは、チケットの価格を1000円とか1500円高くします。
逆に1、2月の閑散期には500円くらい安くします。
どれくらいインパクトがあるのか、といいうと、、、
混雑する日は1日あたり10万人、ディズニーランドとディズニーシーにいるとします。
年間混雑日は50日程度あるとしましょう。
1,500円、混雑日のチケットを高く設定すると、、、
100,000人×50日間×1,500円 = 75億円
基本的にこれをやるにかかる手間も少ないですから、なにもせずとも75億利益を上げられます。
②イベントの有料化
たとえば、ディズニーランドのワンマンズドリームや、ディズニーのビッグバンドビート、など、抽選でしか入れないショーがありますよね?それを1,000円とる、みたいなかたちにしてしまったらどうでしょう?
1,000円なら出して見たい!という人もたくさんいるでしょう。
1,000円×1回1,000人×80%(席の埋まる確率)×1日10回×365日×2パーク分=58億円
すぐ儲かりますね。
③ファストパスの有料化
これが一番インパクトが大きいのですが、USJのやっている「エクスプレスパス」というやつですね。
USJにはかなりいろんな種類があるのですが、大体7,000~15,000円くらいが主流です。
オリエンタルランドのお客さんのうち、60%が関東圏のお客さんでこの人たちはまたすぐパークに来れますから、10%程度しかエクスプレスを購入しないとしましょう。
一方遠方からくるお客さんは「せっかくきたのだから十分楽しみたい!」とエクスプレスを買う確率は高くなりますよね。なので30%くらいの人が買うとすると、、、
関東 60%×10%=6%
それ以外 40%×30%=12%
ざっくりと、来場者のうち、20%くらいの人がエクスプレスを買うのではないかと想像できます。
ディズニーランド、ディズニーシーを合計した来場者数を仮に2500万人としますね。
2500万人×エクスプレス購入率20%×単価10,000円=500億円
以上、上記3つをやることで、700億くらいすぐ追加の利益が出せてしまうのです。
つまり、伸びしろがたくさんあることと、全てUSJやほかのテーマパークでやっていることを真似するだけなので、
今の実態の利益水準よりも、倍くらいの利益はすぐに出せるだろう、とみんな見ているわけですね。
一方で懸念としては、お金がかかることによってゲストの皆様の魔法がとけてしまうこと、でしょうか、、、
中長期的なブランディングと、短期的な利益をどう両立するか、が問われますね。
就活してらっしゃる方が会社に入って活躍するのは5年後、10年後でしょう。
その時にオリエンタルランド、ディズニーランド、ディズニーシーのビジネスモデルはこのように、一人の顧客からいかに稼ぐか、を中心としたものに変わっている、と理解したほうがいいと思います。
テーマパークビジネスの先へ
えと、ここからはかなり私見の世界になります。何か根拠があるか、と言われると「ない」ので、ご参考までに。
コロナはディズニーに何をもたらしたのか
コロナによってオリエンタルランドが受けた衝撃は、おそらく開業以来最大のものだったかと思います。
「混雑することで儲かるビジネスモデル」に対し、「混雑することは悪」というものを突き付けられました。
もはや、自分たちの存在意義を変えないといけない、と突き付けられたのです。
その意味で、過去の大震災や不況とは異なる影響を与えた、と考えていいかと思います。
「ここに来ないと売り上げが立たない」ビジネスの限界
最初に申し上げた通り、オリエンタルランドのビジネスモデルはほとんどの収入が
「ゲストがパークに来ないと上がらないもの」
です。
しかし、「みんな遊びに来てね!(混雑するけど)」というのは難しくなってしまいました。
一人当たりの売上高をあげよう!とUSJの真似をするのもいいのですが、やがて限界が来ます。
一人当たりにかかるお金が上がるほどに、大体として考えるのが海外旅行とかになり、競合が変わっていくんですよね。
「1日日帰り旅行」や「国内旅行」を相手にしたビジネスであれば無類の強さを誇るオリエンタルランドですが、競合相手が「ハワイ旅行」や「韓国エステ旅行」みたいなものに変わった瞬間、どれだけ戦えるのかはよくわかりません。
よって、向こう5年くらいは一人当たり売上高を上げるのでなんとかなるかと思いますが、その先を見据えるとどうする?というのが大きな課題として浮かび上がってきます。
就活をしているみなさんがオリエンタルランドに入れたとして、最も活躍できるタイミングで会社は大きな岐路に立たされることになると思います。
テーマパークビジネスを飛躍させる手段
簡単に言うと、考えるべきは「パークに来ないけどお金が入る方法」ですね。
例えばですけど、
パークでやったショーやパレードの映像を見られるYoutubeチャンネルを開設して月額300円とる、とか。
家にいながらジェットコースターのような体験のできるソフトを開発して、プレステのVRでできるようにする、とか。
少し変わった手法でいくと、
「ディズニーの年パスを持っていると、スーパー、コンビニでの買い物が安くなる、携帯が安くなる」
みたいな特典があるとか。
いろんなことを考えていく必要があるかとは思います。
少しずつですが、ビジネスを変えていく必要が出てきた、というのが今のオリエンタルランドの状況ですね。
オリエンタルランドで働いていた人の体験談
]さて、私の周りに何名か、オリエンタルランドで働いていた人がいます(現在は退職しています)。
今回は彼ら彼女らから2名の方就活の話をご紹介したいと思います。
①新卒・男性
就活時はあまり興味はなかったし、ディズニーで遊んだこともあまりなかったが内定はもらえた。
面接時は「あまりパークに親しみがないからこそわかることもあるし、だからこそ気づけることもあるはず」と話をしていた。
入社後は様々な部署で働いたが、良くも悪くもみなこの会社のことが好きであまり外をみない。閉塞感のようなものを感じてしまった。この会社が好き!会社の文化になじめる人にはとても居心地のいい場所だと思う。
一方で自分は外の世界が見たくなり、自分の力を試してみたい、という気持ちが強くなって転職を決意した。
いい会社であることは間違いないし、とても感謝している。ただ、「働く場所」としては特別な場所ではなく、1企業でしかない、というのが自分の考え方。
②中途・女性
元々は金融系の仕事をしていたが、そちらでプロジェクトが一段落したところで転職、オリエンタルランドに入社した。
面接は割とスタンダートに志望動機や会社でやりたいこと、どんな形で役に立てるか、等。
仕事は本当に面白くて、いろいろと迷惑はかけたと思うが自分の手掛けたショーが初めてお客さんに診てもらえた時は涙を流して喜んだ。
旦那さんの仕事の関係で勤め続けることができなくなってしまったが、できればもっとオリエンタルランドで働いていたかった。それくらい楽しい職場だった。
会社の雰囲気としては結構トップダウンの雰囲気があり、それが嫌で会社を辞める人もそれなりに多い。
特に優秀な若手が自分の思いを形にできず、上司は上ばかり見て仕事をするので、嫌気がさしてしまう、ということが散見されていた。私自身はあまり気にならず、むしろ上の方々がこの素晴らしいパークを築き上げてきたのだから学ぶべきものをしっかり学ぶ、という意識でいたものの、みんながみんな、そういう雰囲気ではないのかも。
なので、ある程度昔ながらの職人の世界のような人材育成をするので、早く成長したい、とか外銀や外コンを受けているような就活生にはそぐわない職場かもしれません。
以上、いかがでしたでしょうか?
オリエンタルランド、だれもが憧れる職場ではあると思いますが、やはり働くことは厳しいことですね。
中には「どうしてもオリエンタルランド!」と思ってらっしゃる方もいらっしゃるかと思いますが、新卒では難しくとも、中途のほうがチャンスがありそうです。
新卒はびっくりするくらい倍率高いと思います。loto6にあたるようなもの、と思いましょう。
まずほかの会社でしっかりとスキルをつけ、転職を狙ってもいいかもしれません(コロナから立ち直ってから、になりますが)。
しっかりと現実を知って、5年後10年後のオリエンタルランドの姿を思い描き、自分が一人前になった時に何ができるのか、どう貢献したいのか、を考えて面接に臨むようにしましょう。
頑張ってください!