総合商社の見方が変わる。商社、コンサル、金融の退職者からの評価が高い会社ランキング

総合商社の見方が変わる。商社、コンサル、金融の退職者からの評価が高い会社ランキング

就活していると、「本当にいい会社」をどう見極めたらいいのか、ということが本当に難しいですよね。どんな分析をしても答えは出てきません。目安の一つとして、「辞めた人から『いい会社だったな』と思われること」という指標で見てみます。辞めてなおリスペクトされる会社。人気業界を見ていきます。

 

なぜ退職者からの評価が高い会社なのか

就活での企業分析、業界分析の仕方は色々とあると思います。自分に合った会社はどんなところなのか。実際には働いてみないとわからない、という面もあるのですが、できる限り入社前に把握しておきたいですよね。

 

企業の業績を調べてみたり、理念やどんな社員が多いかを見ることは重要です。やはり社員さんに会って実際の話を聞く、というのが一番わかりやすいです。業績の安定性は、社内の長期の人材育成の雰囲気にも関わってきますしね。

 

でもいまいち、しっくり来る感じもしないと思います。

 

そこで今回考えた切り口が「退職者からの評価が高い」会社、という切り口です。

転職した人間が「やっぱり、自分のいた会社はいい会社だったんだな」と思えるって、素晴らしいことだと思いませんか?離れてなお、その会社のことをリスペクトするのです。

 

米国だとグーグルあたりがその代表例です。Xooglerという組織があり、グーグルの卒業生達のネットワークイベントが世界中で開催され、グーグル自体が卒業生に対し積極的に投資をしている、という事実があります。

 

それはそうですよね、一番優秀な人材を自分の会社が集めているのであれば、その卒業生が起業した時に投資するのが一番効率がいい。

 

こうした、素晴らしい会社が素晴らしい人材を引き寄せ、卒業生が活躍していく、そんなエコシステムを構築できる会社を探すのがこの「退職者からの評価が高い企業ランキング」です。企業分析や業界分析に少し役立てばいいかなと思います。

 

今回は私が金融の出身なので、総合商社、金融、コンサルあたりで見てみましたが、他業界も同様に見られると思います。

 

日本での代表例は、リクルート、ソニーあたりでしょうね。

 

業界別退職者からの評価の高い企業ランキング

私が金融、銀行出身だったので、まずは金融志望の学生がよく受ける企業を見ていきます。コンサルティング、総合商社、外資系金融、あたりですね。スコアはVorkers、Openworkから拾ってみました。

 

コンサルティング

コンサルティングの第1位は、やはりというべきか、マッキンゼーです。現職者からの評価ではベインが1位なのですが、退職者からの評価ではマッキンゼーが上にきますね。卒業生の活躍度合い、企業の人的結びつきの強さなどが反映されているのだと思います。

コンサルティング全体で、現職者よりも退職者の方がスコアが高いのはマッキンゼーだけです。月の残業時間200時間が普通な世界で退職者からの評価が高い、というのは、いい人材を集め、その人材が持てる力を十分に発揮している状態、と考えられるかもしれません。

企業名 現職スコア 退職スコア
マッキンゼーアンドカンパニー 4.6 < 4.72 0.12
ベインアンドカンパニー 4.73 > 4.64 -0.09
ボストンコンサルティンググループ 4.59 > 4.32 -0.27
アクセンチュア 4.19 > 3.86 -0.33
デロイトトーマツコンサルティング 4.1 > 3.8 -0.3
PwCコンサルティング 3.8 > 3.51 -0.29
EY 2.97 > 2.7 -0.27

 

外資系銀行・証券

スコア自体が高いのはぶっちぎりでゴールドマンサックスでした。納得ですね。しかし、現職スコアと退職スコアの差で行くと、ドイチェ証券が一番です。働いている時はしんどいけど、離れて見て「やっぱりいい会社だったな」と思えるんでしょうね。逆にUBS証券なんかは退職スコアが非常に低いです。「こんなはずじゃなかった」みたいな人たちが多いのかもしれません。

企業名 現職スコア 退職スコア
ゴールドマンサックス証券 4.49 > 4.42 -0.07
JPモルガン 3.69 < 3.71 0.02
UBS証券 4.39 > 3.65 -0.74
バークレイズ証券 3.46 < 3.63 0.17
ドイチェ証券 3.18 < 3.59 0.41

 

総合商社

人気の高い総合商社ですが、退職者のスコアが高いのは三井物産です。最近は総合商社首位が三菱商事、勢いのある伊藤忠商事、という見方が多いですが、やはり「人の三井」は健在であり、こうして数字に表れてくるんですね。総合商社の中で現職の方よりも退職者のスコアの方が高いのは三井物産のみ。

逆に伊藤忠などは退職者のスコアが多く下がるので、「こんなはずじゃなかった」「思っていたのと違った」「成長できない」「厳しい」と感じて辞めていく人が多いのかもしれません。勢いだけではカバーできないのがこの退職者からの評価ですよね。

企業名 現職スコア 退職スコア
三井物産 4.29 < 4.34 0.05
三菱商事 4.34 > 4.22 -0.12
伊藤忠商事 4.45 > 3.93 -0.52
住友商事 3.98 > 3.76 -0.22
丸紅 3.94 > 3.76 -0.18

メガバンク

人気が落ち気味なメガバンクですが、退職者のスコアが高いのはSMBC、三井住友銀行です。ただ、退職者のスコアの方が高いのは三菱UFJ銀行ですね。三菱UFJ銀行の出身者は退職してからでも三菱UFJでいたことに誇りを持っている、ということでしょう。素晴らしいことですよね。

企業名 現職スコア 退職スコア
三井住友銀行 3.66 > 3.52 -0.14
三菱UFJ銀行 3.31 < 3.38 0.07
みずほ銀行 3.18 > 3.15 -0.03
りそな銀行 3.04 > 3.01 -0.03
ゆうちょ銀行 2.88 > 2.75 -0.13

 

証券会社

証券はやはり野村證券です。証券業界は5社中3社が現職より退職者のスコアの方が高いです。これは、証券業界自体はそんなに人気のある業界ではないのですが、入ると力がついて、どこでも通用する能力がつきやすい、ということではないかと思います。そういう意味では、就活生のファーストキャリアとして証券会社はお得ですよね。割と入るのは簡単、仕事自体は厳しいかと思いますが、その分力がつくので、社会人になってから活躍の場が広がります。

企業名 現職スコア 退職スコア
野村證券 3.85 < 3.92 0.07
大和証券 3.79 > 3.61 -0.18
SMBC日興証券 3.43 > 3.27 -0.16
みずほ証券 3.04 < 3.13 0.09
三菱UFJモルガンスタンレー証券 3.01 < 3.04 0.03

 

生命保険

生命保険業界の特徴はなんといっても、現職スコアと退職者スコアの差がない、ということです。そういう意味では就活時点での情報が適切に提供され、入社するときの期待値と、入社したとのGAPが少ない、とも言えるかもしれませんね。

企業名 現職スコア 退職スコア
住友生命 3.39 > 3.38 -0.01
第一生命 3.34 > 3.17 -0.17
日本生命 3.19 > 3.06 -0.13
明治安田生命 2.97 > 2.88 -0.09

 

損害保険

損保は東京海上日動の1強です。しかし、現職のスコアよりも退職者のスコアが結構低い、という特徴もあります。これは、総合商社の伊藤忠商事にも通じるところがあると思うのですが、「強い自社文化を持っていると、合う/合わないが出てくる」とも考えられると思います。そういう意味では、採用でしっかりと候補者が自社文化に合うかがより見られればこのスコアは改善するのかもしれませんね。

企業名 現職スコア 退職スコア
東京海上日動 4.23 > 3.92 -0.31
損保ジャパン日本興亜 3.31 < 3.36 0.05
三井住友海上 3.19 > 3.1 -0.09

 

政府系金融

政府系も生保と同様、現職のスコアと退職者のスコアに差がありません。日本政策金融公庫が退職者スコアが少し高い、くらいでしょうかね。安定してます。

企業名 現職スコア 退職スコア
日本政策投資銀行 3.5 > 3.47 -0.03
日本政策金融公庫 3.07 < 3.21 0.14
農林中金 3.26 > 3.18 -0.08
商工中金 3.02 > 2.86 -0.16

 

 

現職者より退職者からの評価が高い会社ランキング

さて、ここまで業界別に見てきましたが、ここからは業界関係なく、全体で退職者からの評価が高い会社を見ていきます。

まず、退職者スコアが高い企業はコンサルトップ3とゴールドマンサックス、三井物産です。

三井物産が唯一日系企業では食い込んできました。ボストンコンサルティングよりも上にきましたね。

企業名 現職スコア 退職スコア
マッキンゼーアンドカンパニー 4.6 < 4.72 0.12
ベインアンドカンパニー 4.73 > 4.64 -0.09
ゴールドマンサックス証券 4.49 > 4.42 -0.07
三井物産 4.29 < 4.34 0.05
ボストンコンサルティンググループ 4.59 > 4.32 -0.27

 

現職者より退職者からの評価が低い会社ランキング

逆に、退職者からの評価が低い企業を見ていきます。不名誉だと思いますが、、、

一番退職者からの評価が低いのは、会計系コンサルティングBIG4のうちの1社、EYです。現職のスコアもそこまで高くないのですが、現職スコアと退職者スコアのGAPの大きさも気になります。ちょっと、どよん、、、としたものを感じますよね。

企業名 現職スコア 退職スコア
EY 2.97 > 2.7 -0.27
ゆうちょ銀行 2.88 > 2.75 -0.13
商工中金 3.02 > 2.86 -0.16
明治安田生命 2.97 > 2.88 -0.09
りそな銀行 3.04 > 3.01 -0.03

 

退職者の評価が著しく高い企業ランキング

まずこの指標の傾向として、現職のスコアが高い企業は上にきづらいです。そもそもその会社で働いているのに満足をしているので、退職者がそれ以上に評価するというのは難しいですよね。それでもここにマッキンゼーが顔を出すのは、ずば抜けてすごい会社である、という証拠かと思います。ドイチェ、バークレイズは離れてみて「やっぱりいい会社だったな」と気づく会社です。

ドイチェ、バークレイズにいることで力がつき他で活躍できると、「あの会社で成長できた」と恩を感じるかもしれませんね。就活生の方にとっては面白い情報なのではないかと思います。企業分析、業界分析に少し役立ちそうな気がしてきました。

企業名 現職スコア 退職スコア
ドイチェ証券 3.18 < 3.59 0.41
バークレイズ証券 3.46 < 3.63 0.17
日本政策金融公庫 3.07 < 3.21 0.14
マッキンゼーアンドカンパニー 4.6 < 4.72 0.12
みずほ証券 3.04 < 3.13 0.09

 

退職者の評価が著しく低い会社ランキング

逆に、退職した人間の評価が低い企業です。その会社のことが嫌で辞めた人が多い、ということと思いますので、少し注意が必要な会社たち、ということですね。

伊藤忠、東京海上日動は就活でも人気の高い会社として認知されていますが、実は退職者からの評価が低いです。合わない人が一定数いるのでしょうね。就活生の皆さんは自分が本当にこの会社の文化に染まれるか、というのを特に他の会社以上にしっかりと見極めないといけませんね。

アクセンチュアは採用数を増やしているので、合う合わない以上に、コンサルティングにふさわしくない人まで採用してしまっている、ということだと思います。激務についていけない、という人が一定いるのでしょう。

一番スコアが低いのUBS証券。確かに、「この会社いいよ」という話でUBSの話をあまり聞かないですね。特に、評価が上司次第で決まってしまう、という話は聞きます。。。

企業名 現職スコア 退職スコア
UBS証券 4.39 > 3.65 -0.74
伊藤忠商事 4.45 > 3.93 -0.52
アクセンチュア 4.19 > 3.86 -0.33
東京海上日動 4.23 > 3.92 -0.31
デロイトトーマツコンサルティング 4.1 > 3.8 -0.3

 

さて、以上ここまで退職者からの評価が高い企業ランキングを見てきました。

私も2度ほど転職をしていますが、やはり自分の元いた会社が誇れる会社であること、というのは自分の自信にもなります。卒業生としては、自分が活躍することで古巣への恩返しにもなるとも思いますしね。

外に出ても、前職の経験を生かして活躍できる会社ほど退職者からのスコアが高くなる、逆を言えば本当に生きていく力のつく会社は退職者からの評価も高くなる、ということかと思います。

是非企業分析、自己分析の一助になればと思います。

では、この辺りでおしまい。

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