元メガバンク人事の就活攻略〜商社、銀行の一般職の未来を考える

元メガバンク人事の就活攻略〜商社、銀行の一般職の未来を考える

早慶MARCH関関同立あたりから大企業の一般職に就職する人が増えましたね。ワークライフバランスという言葉が一般職を肯定しているようですが、長期的に見ると将来の可能性を奪う危険な風潮だと思います。「大手なら総合職、転居が嫌ならベンチャー」をお勧めします。

 

確かにいいとこどりだった一般職

一般職

冒頭で大企業の一般職はあまり好ましくない、と言っていますが、今までの一般職を否定しているわけではありません。

 

確かに銀行の仲間でも、「子供が生まれたら銀行の一般職勧めるよね」と半分冗談に言っていたほどです。銀行の一般職でも、ちゃんとやって認められれば年収700万くらい行けますので、結構いいですよね。

 

そもそも大企業の一般職の役割とはなんでしょうか?

「総合職が業務に専念できるようサポートをする」

「付加価値は低いけれど会社として必要な仕事を担う」

といったあたりの仕事になります。来客時のお茶だしなど、最たる例ですね。

 

職種の特徴としては

「転居を伴わない」

「給与はそこまで上がらず、出世もしない」

「『役割』の通り、専門性のある仕事をしない」

 

ことだと思います。

 

従来は大企業の一般職は

「安定した大企業へ入社できること」

「転居もなく、家族や友人との時間を大切にできること」

 

を両立させる素晴らしい仕事、職種だったと思います。

 

高学歴化する一般職受験者

一般職

私がメガバンクの採用担当をしていた時に、顕著に現れた傾向があります。

それは、一般職を受ける学生が明らかに高学歴化したことです。

 

元々は女子大や日東駒専あたりの大学をメインで採用していたのですが、採用の中心がMARCH関関同立になり、一部で早慶も採用するようになりました。

 

世の中的に

「自分らしい生き方」

「ワークライフバランス」

といった言葉がバズワード的な流行りだし、

「学歴とか関係なく、自分が本当にどのように行きたいか」

を考えた結果、一般職になった、という学生が増えたようです。

 

少し前であれば人気の食品メーカーの総合職が受からずにし、「仕方なく」一般職を受けに来る、というのはよくあったのですが、今は最初から一般職が第一志望、という子が増えたように思います。

 

正直言って、一般職の仕事というのは優秀な人を満足させられるような仕事ではなく、毎日が「仕事をこなす」日々になるので、面白くはないと思います。

 

 

AIに代替される仕事

一般職

そして近年、よく言われるのは

「AIにより仕事が奪われる」ということです。

 

そして、奪われる仕事の多くは一般職の仕事です。

なぜなら、一般職の仕事は

「付加価値は低いけれど会社として必要な仕事を担う」

ものであり、「人」でなくとも「誰か」がやってくれればいい仕事です。

 

こうしたものこそ、まずAIで代替されていくんですよね。

 

先ほど出てきたメガバンクの一般職の採用数ですが、

3年前 → 2,500人

現在  →  800人

にまで減っています。ちょうど3分の1です。

 

つまり、AIによって7割の一般職の仕事を削減しようとしているのです。

 

通常トレンドというのは、「インパクトの大きいところから小さいところへ」流れていきます。

一般職を大量に採用するメガバンクの動きは、これから徐々に大企業、中堅中小企業へ広がっていくでしょう。

 

一般職のメリット・デメリット

ここで、一般職のメリットとデメリットを整理しておきたいと思います。

 

【メリット】

・(単期的)大企業への入社が割と容易である

・(単〜中期的)転居の必要がなく、生活が安定する

・(単〜中期的)大企業が多く、会社が安定的である

 

【デメリット】

・(単〜中期的)仕事自体の面白みはなく、飽きやすい

・(中〜長期的)人との出会いが乏しく、新しいことにチャレンジしようとする気持ちが作りづらい

・(中〜長期的)専門性のある仕事でないため、転職が難しい。市場価値がない

・(中〜長期的)AIによって仕事が奪われやすい

よって、単〜中期的にはメリットも多いのですが、長期的に見るとデメリットが多い、というのが正直なところです。

 

なので、一般職を選ぶときはしっかりと、将来何をやっていくのかを考えるべきだと思いますし、「自分に何が向いているのかわからない」という状況であれば一般職を選んでしまうのはとても危ないことだと思います。

 

地元志向なら大企業でなくあえてベンチャーに

一般職

安定性が欲しい、でも転居はしたくない。だからこそ一般職なんだと思います。

そんな人は是非専門性のつくベンチャー企業にしましょう。

 

一般的には大企業=安定、ベンチャー=不安定と思われがちです。

しかし、ベンチャーで専門性をつければ、一つの企業にずっといる、というよりもどこの会社でも通用する実力が身につきます。

 

学生からすると「一つの会社でずっと勤め上げることこそ安定」と思われるかもしれませんが、これからの世の中は「どこでも通用する人材」こそが安定です。

 

会社の生き死には、社長にでもならない限り自分でコントロールできません。(むしろ社長でもコントロールできないのですが)

しかし、自分に実力をつける、つけない、というのは自分でコントロールできますよね。あくまで、自分の中にノウハウや実績を蓄積することで、いつでも誰からも声をかけてもらえる、だからこそ自分の生活を安定させられるんです。

 

「何もしないで安定した生活を手に入れたい、、、」

たぶんこれが本音ですよね?

学生のうちはそう考えるかもしれませんが、社会に出ると少し考え方が違ってきます。

何もしない=誰の役に立っているのかわからない、ので逆に精神が安定しなくなります。自分が生きている意味って何?と考え出すわけです。

その答えが見つからないと会社を辞める。

だから「3年で3割が辞める」んです。

 

仕事の意義、生きる意義がないと行動できない、というのは若い世代の特徴らしいですが、私は素晴らしい特徴だと思います。

 

何もわからずに盲目的に何かに打ち込めることももちろん重要なのですが、部活の練習の時なども「何のためにこの練習をやるのか」が理解できていた方が、練習からの学びは格段に多くなりますよね。

 

上の世代に比べても、若い世代に優秀な人材は多くなったと思います。

面接をしていると、本当に今の学生さんってすごいな、と思うことが多々あります。

 

是非、その若い芽を長期的に大きく育てるために、一般職よりも大企業の総合職やベンチャーでの挑戦をお勧めしたいと思います。

 

頑張ってください!

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