金融って、給与いいと言われるけどぶっちゃけどれくらいなの?金融各社の給与水準を株主向けの報告資料からひもといてみました。
総合職の給与
実は、総合職の給与はあまり外にでる機会がないのですが、「有価証券報告書」。これを見るとすぐわかります。金融機関は「金融持株会社」というものを作り、各社のエース人材をグループ全体の経営に当たらせるため、ここにはほぼ総合職の人間しか在籍しないためわかりやすいです。(一部それ以外の職種もいるとは思いますが)
早速グラフを見ると、幾つかの特徴が見て取れます。
社名 | 人数 | 平均年齢 | 勤続年数 | 平均給与 |
野村ホールディングス | 127 | 42 | 4 | 14,511 |
東京海上ホールディングス | 587 | 44 | 20 | 13,479 |
三井住友フィナンシャルグループ | 421 | 39 | 15 | 12,514 |
MS&ADインシュアランスグループホールディングス | 329 | 47 | 22 | 11,381 |
大和証券グループ本社 | 4 | 42 | 15 | 10,723 |
三菱UFJフィナンシャルグループ | 2,154 | 41 | 16 | 10,654 |
みずほフィナンシャルグループ | 1,359 | 41 | 17 | 9,903 |
第一生命ホールディングス | 542 | 42 | 15 | 9,857 |
1 野村ホールディングスが首位で1,500万円近い
証券業界の雄、野村が日系金融機関のトップ。リーマンショック時にはリーマンの部門買収をするなど、世界を代表する金融機関に上り詰めた同社が日系金融では頭一つ抜けている。
厳しい仕事、激しい働き方のイメージのある同社だが、その分見返りも大きい、ということだろう。
2 平均年齢は三井住友フィナンシャルグループが唯一30代
唯一、平均年齢が30代かつ、トップ3に入る三井住友フィナンシャルグループ。よく「若手の活躍」を売りにしているが、ここは本当のよう。給与も40前にして1,250万なので、実質的には平均年齢44歳の東京海上よりも給与はいいくらいだろう。
意外なのは三菱、みずほに比べて200万円くらい高いこと。3メガバンクほぼ横並びのイメージが強いが、三井住友だけ給与は一歩抜けているよう。
ここも「体育会」など言われ、厳しいイメージが強いが、その分給与高め。
3 損保2社は平均年齢が高い。
給与はいずれも1,000万円を超えているが、責任ある仕事に登用されるまでの期間が長そう。
ただ、じっくりと実力をつけて、それなりのポジションにつくことができれば45歳くらいでいい仕事、いい給料につける、と。長く安定的に働きたい人に良さそうですね。
全体平均の給与
一般的に、就職四季報や業界研究本に載っていたりするのがこの給与。実は全職種、全職員の平均なので、正直分かりづらいのだが。
一般職と総合職を仮に半分ずつの構成比だとすると、総合職から逆算して一般職の給与も求めることができます。
社名 | 人数 | 平均
年齢 |
勤続
年数 |
平均
給与 |
総合職
給与 |
平均差 | 一般職
給与 |
野村證券 | 13,030 | 40 | 13 | 10,871 | 14,511 | 3,640 | 7,231 |
大和証券 | 8,785 | 38 | 13 | 9,185 | 10,723 | 1,538 | 7,647 |
東京海上日動火災保険 | 17,368 | 42 | 11 | 8,291 | 13,479 | 5,188 | 3,103 |
三井住友銀行 | 29,283 | 36 | 13 | 8,148 | 12,514 | 4,366 | 3,782 |
三菱UFJ銀行 | 34,276 | 38 | 15 | 7,738 | 10,654 | 2,916 | 4,822 |
みずほ銀行 | 29,848 | 38 | 14 | 7,445 | 9,903 | 2,458 | 4,987 |
三井住友海上火災保険 | 14,650 | 41 | 13 | 7,410 | 11,381 | 3,971 | 3,439 |
証券会社が高め、損保会社が低めに出るのは上記の職員の比率が異なるためだと考えられますかね。銀行は370万〜480万くらい、月給30万×12か月+賞与3か月分で450万円なので、月給30万いかないくらいが平均的なところかと。全体としてこれくらいが平均なので、おそらく金融の一般職というとこれくらい。逆に平均給与の700〜1,000万くらいの給与に届くのは管理職になってからくらいなので、注意が必要です。。
平均年齢と平均勤続年数を見てみよう。
銀行3つは
平均年齢-平均勤続年数=新卒の年齢
となるのに対し、
特に損保2社は
平均年齢-平均勤続年数=28〜31歳
となる。平均年齢が高い割に勤続年数が少ない、ということは、中途採用が多いということ。少し意外。
給与の実際
金融全般、給与は高めと言われますが、それはあくまで総合職に限った話です。
金融の総合職であれば、まぁ30代で1,000万は超えますし、野村、東京海上、SMBCあたりはさらに1,500万くらいも射程圏ですね。ここにおそらく日本生命という会社が給与高い会社としてはあるかと思います。
例えば、一般的なメーカー(自動車とか除く)だと、30代で800万円程度かと。
では、給与が200万違うと、どれくらい生活は違うのでしょうか?
簡単に試算します
収入 800万円 税金やら保険代20% = 可処分所得 640万
収入1,000万円 税金やら保険代25% = 可処分所得 750万
年収で200万違っても、取られるもん取られるので、実際は100万円くらいの差になります。
では、年間100万円、月8万円の違いってどれくらいの違いなのか。
・都心から少し離れたタワーマンションに住める
・海外旅行に年に1回多くいける
・月に1回高級鉄板焼き食べに行ける
くらいなんですね。で、実際よく言われるのは、1,000万くらいもらうと「ある程度高級取り」のイメージで消費をして、結局お金が貯まらないという。
僕もある程度もらっていた時は、缶コーヒー1日3本くらい買ってました。
1日缶コーヒー3本×単価120円×月22営業日×12か月=95,040円
です。絶対半分くらいにできますよねw 1日300円の出費、こういうのがいろんなところに油断して出てきて、結局年収200万円なんてこのレベルの年収になると日頃の心がけ次第のところでもあります。
まとめ
このように、株主向けの説明資料から読み解ける情報はとても多いし、このような情報はほとんど就職活動時に触れることはないかと思います。
逆に、会社や業界を理解するために周りに差をつけるには、こうした資料を読み解いていくのも一つかもしれないですね。