毎年何百人の方と面接をしていると、「この人のこの力はアルバイトを通じて培ったんだろうな」と思うことが多々ありました。単に就職活動というだけでなく、社会人になっても生きる力になる、素晴らしい力です。
どんなバイトが将来役にたつのか、オススメのバイトをご案内したいと思います。
そもそもバイトに何を求めるか
アルバイトは大学生活に欠かせないですよね。何かとお金のかかる学生生活、、、少しでも充実した生活を送るためにはアルバイトが必須です。
でも、せっかくの貴重な時間を使うなら、自分が何かしらか「成長した」と思えるようなアルバイトをしたい、と思いますよね。
例えば週3回、1回5時間を1年続けると年間で720時間、大学4年間で3,000時間近い時間を費やすわけです。
よく英会話を勉強するときに1,000時間勉強しなさい、と言われますが、このバイトの時間を全て英語の勉強に当てたらみんな英語ペラペラになれてしまうくらいの時間ですね。
なので、それくらいバイトにかける時間は多いですし、せっかくの時間を大切にして欲しいと思うわけです。
私は採用面接を何千人としてきましたが、その中でバイトの経験を中心にガクチカをお話しされる方もたくさんいました。
その中で、「これは素晴らしいな」とか「そんなバイトやってどうするんだろう」とか、いろいろと思うところがありました。
そこで、バイトを4つに区切ってみたいと思います。
縦軸は裁量・工夫の余地があるか、反対には決まったことを決まったようにやる仕事です。横軸はチームワークでやる仕事か、個人でやる仕事か、です。
こんな風にバイトを区切ってみて、自分のやろうとしている、もしくはやっている仕事に求められるのはどこの象限なんだろうと考えてみてください。
オススメしないバイトの典型例
上記のマトリックスを元に、おすすめするバイト、おすすめしないバイトを考えます。
オススメしないバイト = 「個人型」かつ「ルーティーン、間違えない」
左下の象限のものです。
ルーティーン、間違えない、というのは確かに社会に出てから役に立つのですが、ルーティーンで間違えないことは、人よりもコンピューターの方が得意ですよね。今後30年とかを考えれば、間違い無くAIが発展し、この分野の仕事は取って代わられることになると思います。
なので、バイトを選ぶときは必ずこの「個人型」「ルーティーン、間違えない」を避けるようにしましょう。
オススメのバイト5選
では、オススメのバイトは何かというと、「裁量・工夫の余地がある」かつ「チーム型」のバイト(右上の象限)です。
以下に思いついたアルバイトの例を並べてみます。これは、僕が学生さんを面接するときに「この子は優秀だな」と感じる子に多いアルバイトだったと思います。
自然と、自分で考えて自分の成長の場を求める人はこんなところに集まるのかなと思います。
これが全てではないので、少し参考にしてみてください。
マクドナルド
意外かもしれませんが、マクドナルドのバイトは優秀な人が多いです。
ただ、長く続けている人限定です。
マクドナルドのバイトを長く続けていると、本当に店舗経営について考えるレベルまで成長している学生がいます。これは、正直コンビニバイトが「店舗全体を考えられる」と言っているのに比べてマクドナルドのアルバイトはレベルが違います。
リーダーシップ、マネジメント、1円単位の経営など、マクドナルド大学という研修で学んだことを実践できる、非常に素晴らしい機会があります。
働く人数も多いですし、主婦から学生、フリーターと多様性もあり、最近では海外留学生のスタッフも多いですよね。こんな多様性のある環境で自分の居場所を作る、というのも素晴らしい能力です。
身近な存在なので少し敬遠しがちですが、長く愛されている会社には愛される理由があるのだと、それがこの会社の場合アルバイトの皆さんに支えられるている、というのが非常に面白いところです。
塾の講師、家庭教師
塾の講師や家庭教師はなかなか良いです。
なぜ良いかというと、目の前の生徒をなんとか志望校に合格させよう、と本気になれるからです。
逆に、本気にならない塾講師や家庭教師はあまり魅力的ではありません。
本気になるからこそ知恵が生まれますね。知恵が工夫を生み、成果につながります。なので、塾講師の場合はこの本気度、というのが魅力的です。
就活の時はどれほど本気で物事に取り組み、知恵を生みだし、成果を上げたか、という一連の話を大切にします。「一生懸命頑張りました!」と話すガクチカのエピソードに、その人なりの知恵がなかったらガクっとなります。その点、この塾講師は本気になりやすい、工夫をしやすい環境があります。
また、先生同士でお互いを高めあったり、わからないことがあれば共有をお願いしたりと、チームで仕事をすることも多々ありますね。先生同士のチームワークのいい塾は、自然と生徒の成績も上がるものです。
まさに「工夫の余地あり」「チームワーク」を満たせるバイトなのです。
知り合いが始める店
「本気度」という意味では、知り合いが始める小さな飲食店、のようなところも素晴らしい環境だと思います。これも「そのお店のために何ができるか」ということを考えてチャレンジしやすいですよね。
これをやったらお客さんくるかな、とか、継続的にお客さんに来てもらうにはどうしたらいいだろう、とか。考えて実行できることが沢山あります。
もしかしたらあなたが頑張らないとそのお店の経営も危なくなってしまうかもしれないですよね。せっかく始めたお店をしっかりと軌道に乗せられるよう、頑張りましょう。
これは非常に素晴らしいバイトなのですが、周りにこのような人がいないと機会がないので、希少価値のアルバイトです。逆に、機会があればぜひやりましょう。
ブライダル
今までと少し変わった角度でいくと、「ブライダル」の給仕の仕事です。
これは仕事をしていく上で大切な「状況適応力」がつく面白いバイトです。
結婚式、お客さんにとっては一生に一回の大切な場面です。絶対に失敗は許されません。その緊張感の中で、必ずと言っていいほどいろんなハプニングが起きますw だからこそ、ルーティーンになりづらく、その場その場で自分なりの回答、やり方を模索しないといけないわけですね。
一方で、TPO等、きっちりとしないといけないことは沢山あります。
そのようなルールのある中で最大に自分のパフォーマンスを発揮する、というのが、社会人の普段の仕事にも似ています。
割と、僕の周りでこの人優秀だなーと思う人はこのブライダルのバイトをやっていた人間が多いように思います。
ICC
最後も一風変わったものです。
みなさんICCって聞いたことありますかね?
「Industry co-creation」の略で、簡単に言うと全国から面白いベンチャーが集まりプレゼン大会をするイベントです。20代、30代の若い経営者たちが、自分たちの夢や成し遂げたい世界観を語ります。その運営についてバイト、ボランティアを募集しているものです。
経験者の人に話を聞くと、正直バイト自体はそんなに面白いものではないようです。ただ、その会場の熱狂や、若い世代の人たちが「世界を変えていくんだ」と強い意志を持って頑張っているのを見ることはめちゃくちゃ刺激的だと思います。この場の空気を吸うことがとても大切、ということですね。
是非一度、新しい世界の扉を開いてみてください。
バイトと有給インターンどっちがいい?
さて、ここまでバイトについて語ってきましたが、よく聞かれる質問に「アルバイトと有給インターンってどっちがいいですか?」というのがあります。
一般的に有給インターンの方がガチンコで挑戦したい人、と思われがちですが、実はそんなこともありません。
アルバイト : 割と大手が多い
有給インターン : ベンチャーがほとんど
という特性を踏まえ、いかにメリットデメリットをまとめてみます。
アルバイト
メリット
・大手が多く、教育の仕組みがしっかりとしている
・アルバイトをやる仲間がいることが多く、チームプレーができる
・相談できる人が近くにいるので、困ったときでも安心
・本気でやろうと思えばインターンばりに本気でやれる
デメリット
・アルバイトをする人のモチベーションにばらつきが大きい
・自分の創意工夫の余地は少ない
・就活的に、あまり内定に直結しない
有給インターン
メリット
・勢いのあるベンチャーであればその一員としての気概を感じられる
・社会人と変わらない仕事へのコミットが必要になる。本気度が必要となる。
・就活的に、内定直結の場合がある
デメリット
・いいベンチャーを見分けるのが難しい
・困ったときに相談できる人が近くにいない
・会社によってはルーティーンだけ任せられることがある
よって、有給インターンが必ずしもいいというわけではないですし、アルバイトでも十分本気でやれる環境はあります。
昔は有給インターンをしている学生が少なかったので、ベンチャーの有給インターンをやっていると、「成長に対して貪欲な学生さん」というイメージを持ちやすかったですが、最近ではそれも一般化してきているのでそんなに特殊なことでもなくなりました。
なので、仕事内容や一緒に働く人の質、自分の成長のスタイルを考えて選んだらいいと思います。
バイトと学業の両立は価値がある?
面接の時によく勘違いされがちなことなのですが、「学業とアルバイトを両立して頑張りました!」という学生がよくいます。
うん、「両立をすること」自体はとても素晴らしいことですが、それ自体に意味はありません。
「2つのことを本気でやりました。それを両立するための段取り、優先順位付けを意識しました」ということですね。
よく、その事実だけを教えてくれる人がいるのですが、それはいらないですw
社会人になって、重要なプロジェクトを2つ3つ掛け持ちをする際に、それをどうマネージングしていくのか、そんな将来像を見せてくれるような話を期待しているわけです。
ガクチカ「アルバイト」はどこまで戦える?
これも学生さんから「私の学生時代頑張ってきたことはアルバイトなんですけど、これじゃ弱いですかね?」と言われることがあります。
なぜそのように考えるのかはわからないのですが、ずっと申し上げてきている通り、要は本気度の問題です。
どこまで本気でそのバイトに向き合ったのか、その結果どんな知恵を出し工夫を凝らし、成果につなげたのか、が大切なのであって、バイトでも学生団体でもなんでもいいんです。
バイトをものすごい一生懸命頑張った、という人は胸を張って「学生時代に頑張ったことはアルバイトです!」といえば大丈夫ですよ。
以上、アルバイトについてお話をしてきました。
割と軽視されがち?なアルバイトですが、学生時代に打ち込むものとしては非常にいいものだと、個人的には考えています。
これから新しいアルバイトを探される、という方は是非参考にしてみてくださいね。
それでは。